酒呑みのための内臓脂肪を戒める生活

投稿日: カテゴリー: エッセイ

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酒呑みのための内臓脂肪を戒める生活

内蔵脂肪が基準値を超えていたのは先週の検査でわかった。見た目からは信じられないが、一丁前な機械で検査したのでおそらく真実であろう。

というわけでカロリーや動物性脂肪を控えた過酷で険しい生活に無理やりスイッチを入れたのだった。

昼が近づくにつれ何を食べようかウキウキしつつも、この制約があることを知らせる赤色灯が頭の中でゆっくりと回転している。

地元の料理をもてなすお店を尻目に足早に茂原街道を東へと走らせる。長柄町の雑木林と畑が広がるのどかな風景にぽつんとたたずむ一軒の店を発見し手際よく車を停めた。

「みにすとっぷ」。田舎の景色には少し不釣り合いな黄色い看板が目印になっているこのお店はドアを開けると活気に溢れていた。

カロリー表示に目をこらしながら頭の中で足し算を繰り返す。おっと動物性脂肪もだめだ。旨味を含んだ湯気の中で朦朧となりそうになりつばを飲み込んだ。

棚の一番下に遠慮がちに置かれたあるメニューに目が留まり、すかさず手にとってまた頭の電卓を弾いた。

フタをあけると胡麻味噌の香ばしく甘い湯気が顔を覆った。焦らず焦らず、ゆっくりと箸をくぐらせ全体を把握するのは、食べる順番やスピードを測るためである。真っ直ぐに持ち上がるはるさめに抱きつくようにキャベツと唐辛子が絡み、胡麻の香りは更に存在感を増した。歯ごたえのあるはるさめをじっくりと堪能し、濃厚な胡麻味噌スープを少しずつ、正確なリズムで飲み干した。


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