台湾夜市でビールを飲む!

投稿日: カテゴリー: エッセイ

台湾夜市でビールを飲む! 

 先日ガイドブックの仕事のため、台湾に2週間滞在した。同行はビール好きのカメラマン。台湾の人はお酒好き。そう思っている人が多いが、台湾の人々はお酒は好きだが、大半の日本人が思っているようにしょっちゅうお酒を飲んでいるわけではない。その証拠に、意外とお酒を扱っていない店が多い。特に食堂。日本なら餃子があったら、ラーメンがあったらビールでしょう、ではないのである。食べるときは食べる。それが台湾人。でもうちら、日本人なんで、やっぱりビールが飲みたいのである。  

 夜な夜な夜市に出没したうちら。臨江街夜市の脇道で、水餃子のみを扱う屋台を発見。おじいちゃんとおばあちゃんがあっちゅーまに生地に肉あんを詰めていく。この生地、日本のようにビニールの袋に入ってるやつではありません。ちゃーんと塊から一枚分をとり伸ばして皮にして肉あんを詰めていく。手際がいいこと、ほれぼれします。こういう屋台はうまいのですよ。「有没有啤酒?」私の数少ない知っている台湾華語、「ビールはある?」。日本人なら水餃子にビールはお約束。でもこのお店はNO。持ち込みもNO。まあいいや、2皿ちょうだい。待つこと数分、……く~っ、

 うまい! 小籠包の名店もまっつ青っすよ。おかわりしたい、でも夜はこれから、ビール飲まなきゃ。ふと横のお店、こちらはビールOKだ。炒めものの食堂のよう。席を移してビールと羊肉と青菜の炒めものを頼む。このお店、奥に席を持つちゃんとした食堂だが道挟んだ人んちの軒先にもちゃっかりテーブルとイスを出して営業している。この自由さがいいよね。軒先でオーダーしたものを待っていると小雨がぱらぱら降ってきた。するとお店のおじさん、炒めものの皿に別の皿を傘がわりにして、炒めものを運んできてくれた。小太りの体で少しでも濡れないようになのか、小さくなって運んでくれる。傘させばいいじゃん。でもこの気遣いがうれしいねぇ。ビールがよりうまくなるエピソードである。  

 別の夜、観光客にも知られる士林夜市に行った。お目当ては映画館の前で行列を作る平べったいフライドチキン。サクサクでこれまた好吃(おいしい)! 

 でもビールがないのよ……というかイスもない。と周囲に目をやるとセブンイレブンがあるではないか。しかもセブンイレブンの横のビルは入り口が2階なのか階段が。台湾っこがおのおのそこに座っておしゃべりしたり小吃を食べている。ラッキー。セブンイレブンでビールを手に入れ、階段に座ってサクサクサク、ぐびぐびぐび。……揚げ物にはやっぱりビールよね。日本なら、いい大人てか、成人式よりも還暦に近いおっちゃん、おばちゃんがコンビニ前に座り込んでビール飲んでたらやばいっしょ。でも台湾ならいいのである。だーれも気にかけない。しかも、少しでも多く座れるように詰めてくれちゃったりする。はー、満足、うまかったなぁ……ふと周囲を見渡す。これだけ道端で飲み食いしているのに、ゴミが落ちていない。さすが、買い食い天国の台湾。守るところはきちっと守っているのである。ぐるぐる回って最後に美食街に行く。ここではほとんどのお店でビールが飲める。わーい! 台湾啤酒!   

 夜市に行くたび思うのだが、不思議にどこにも酔っ払いがいない。飲めるお店が限られてはいるが、持ち込みOKなところも多いから、飲もうと思えばお店より安く飲めるのに。食べると飲むはちゃんと区別をしているのか、台湾人。いやいや、人間だもの、酔っ払いがいないわけはない。夜市の酔っ払いに出会えたら、私も一人前の夜市飲みになれるはず。目標ができたから、また来ないとね。

写真・ミヤジシンゴ 文・山田やすよ

 


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